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生さぬ児

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生さぬ児

By: モーリス・ルヴェル
Narrated by: 景浦 大輔
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お互いの信用を失った男と女房のひりひりするような修羅場。そしてこのうちの子どもは、その証拠とも言えるほど、よその男によく似た面影を持っていた――。
怒りに理性を忘れた人間の、衝動と後悔が克明に浮かび上がる短編。

雨の降る夜、食卓についた男は、スープをさもまずそうに口へ運ぶ。たいそう機嫌が悪いようだ。
それもそのはず、女房がよその男と親しいと村でうわさされ、笑いものにされていると知ったからだ。テーブルを叩き、女房を引っつかんで「一体誰の子だい。あの餓鬼がさ」と罵倒する男。
それでも帰宅した子どもにふれると、男には愛情が身内にしみこんでくるのであった。だが子どもによその男に似た面影を見出すと、抗えない恨みの気持ちがこみ上げてくる。


モーリス・ルヴェルはフランスの作家。「フランスのポー」と言われ、恐怖や悲哀を主題とした残酷物語の短編を多く残しています。
日本においても新青年等に翻訳紹介され、探偵小説の読者を熱狂させたほか、江戸川乱歩、夢野久作、小酒井不木などに絶賛されました。
乱歩は「淋しさ、悲しさ、怖さがルヴェルの短編の随所に漂っている」と言い、久作は「探偵小説で一番好きなのはルヴェルとポーだ」と言っています。
またラヴクラフトは自身のエッセイの中でルヴェルを絶賛し、アメリカと日本でのルヴェルの認知に多く貢献しました。
現在新たな翻訳が出版され、母国フランスや日本においてルヴェルの評価が再認識されています。©2022 PanRolling
European Literary Fiction
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