ファンタスティック!漢詩ワールド「李白 第七回 朝廷の日々」
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Narrated by:
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宇野 直人
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By:
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宇野 直人
About this listen
<内容紹介>
漢字一つ一つが持つ個性的な形と意味、それらの組み合わせからさまざまにひろがってゆく境地が幻想的でもあり、夢のようでもある「ファンタスティック」な漢詩。
時代背景や作者の境遇を交えた色彩豊かな漢詩の魅力に溢れる講義です。
漢詩は和歌や俳句とともに、永く日本人に親しまれて来た文学形式ですが、漢字ばかりで作られるため、気おくれしてしまう人もおられるようです。
が、そのいかめしい外見から一歩中に入ってみると、まことに多彩で魅力ある世界が現れて来ます。
それは或る種の果物に似ています。西瓜(スイカ)の、あの固い緑色の外皮の中には赤くジューシーな果肉が、また荔枝(ライチ)の、あの固いトゲだらけの、茶色の外皮の中には、丸くて白く、甘い果肉が包まれています。
このシリーズは、漢詩のそのような果実をなるべくわかりやすくお伝えするもので、名作の数々を、時代背景や作者の境遇と合わせてお話ししてゆきます。
漢字一つ一つが持つ個性的な形と意味、それらの組み合わせからさまざまにひろがってゆく境地は、まさしくファンタステイック!と言えるでしょう。
〈第七回 朝廷の日々〉
李白が朝廷から授かった官職は「翰林供奉」と言い、帝の詔勅や書簡の原稿を執筆する役でしたが、実際には園遊会や宴会の場で、帝の命に応じて詩を作る、宮廷詩人としての活動が多かったようです。宮廷詩人の詩作には、単に帝やその治世をほめたたえるだけではなく、世相や政治をそれとなく風刺することも求められていたのです。今回取り上げる五言古詩「子夜呉歌四首」其の三、雑言古詩「戦城南」は、その代表作。
李白は初め玄宗皇帝の覚えめでたく、周囲からも歓迎されていました。しかし朝廷に仕えて二年目くらいから、李白は宮廷生活になじめないものを感じ始めます。五言古詩「月下独酌四首」其の一は、一見メルヘン的な詠みぶりの中に、そのころの彼の心境をよく映し出しています。
<収録作品>
子夜呉歌 四首 其三
戦城南
月下独酌 四首 其一
<講師:宇野直人(うの・なおと)>
昭和二十九年、東京生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了、文学博士。現在、共立女子大学国際学部教授。著書に『中国古典詩歌の手法と言語』(研文出版)『漢詩の歴史』(東方出版)『漢詩の事典』(共著、大修館書店)など。平成十九年、NHKラジオ「古典講読――漢詩」講師、平成二十年より同「漢詩をよむ」講師。